10年の指定延長を求めるか、地元市町村に買い取りを申請するか。所有者の選択肢は大きく分けて2つあります。市町村が買い取れない生産緑地は最終的に宅地に転用される可能性が高く、自治体は対策を急いでいるようです。詳細はどのようになるかは不明ですが・・・。
全国最大の生産緑地を擁する東京都は19年度から、本格的な保全対策に着手しました。1000~2000平方メートル程度の生産緑地を買い取り、ビニールハウスなどを整備したうえで新たな栽培技術に挑戦する希望者に21年度から貸し出す事を計画されています。
「インキュベーション農園」として利用してもらい、将来農地を拡大する際は生産緑地の活用を促す予定です。ちなみに「インキュベーション農園」とはAIやIoTを活用した農業技術を実験する事業者や研究者を募り、その技術を応用した農園の事です。
このほか、3000平方メートルの生産緑地を借り入れて「セミナー農園」を整備し、就農に関心を持つ50~60歳代を対象に農作物の栽培方法などを指導する事も計画されています。
神奈川県は都市農業の基本方針を示す「都市農業推進条例」を近く改正し、生産緑地の保全に取り組む姿勢を明記する。18年度には生産緑地で農業を続ける農家に対し、農業機械などの整備費を補助する制度を創設。市街地で新たに農地を整備する農家も対象とし、都市農業の振興を図る計画のようです。
埼玉県もさいたま市中心部に近い広さ1200ヘクタールの「見沼たんぼ」の保全に取り組んでいく予定です。所有者が持て余す区画を借りたり、買い取ったりしてNPO法人や外郭団体に管理を委託。農業体験イベントや担い手の育成に活用し、農地の機能を守る予定です。
国は生産緑地の指定要件を500平方メートル以上から300平方メートル以上に下げたり、農家レストランや加工施設を建てられるよう規制を緩和したりして地主が農地を維持できるよう後押しする予定です。土地活用の幅を広げ、無秩序な宅地化を防ぐねらいがあります。
マンションなど住宅開発が進む1都3県では生産緑地の周辺で暮らす住民が増加しています。しかし、首都圏で野菜を育てる生産者は「これからも都市農業を続けるには、周辺住民の理解が欠かせない」とのこと。首都圏の人口も20年代以降に減少に転じ、宅地の需要はいずれ頭打ちになる予定。いずれにせよ、不動産の2022年問題によって、大都市部で宅地が大量発生する可能性も出てきています。
住宅購入時に購入予定の物件の周辺に大きな生産緑地があった場合は、この2022年問題の関係で宅地化が進み、大規模なマンション等が建てられる事も懸念されます。
住宅購入時にはこのような『2022年問題』という事も頭の片隅に置いて、住宅購入に臨んでいただきたいと思います。
今後の不動産購入の参考にお役立て下さい。