所有権移転後に耐震基準適合証明書を取得する場合
住宅ローン減税の築後年数要件を緩和するには、耐震基準適合証明書の取得もしくは既存住宅売買瑕疵保険の加入が必要です。
基本的には所有権移転までの手続きが求められるのですが、多くの場合、改修工事が必要と判断されるため、耐震改修工事を前提に所有権移転後の手続きが追加されました。
ここで間違ってはいけないのが、所有権移転に関係なく、耐震基準適合証明書さえあれば大丈夫というわけではない、という点です。
所有権移転後に耐震基準適合証明書を取得する場合の要件は、「所有権移転後、居住開始までに耐震改修工事を実施し、耐震基準適合証明書を取得する」となります。
ポイントは3つです。
一つ目は所有権移転までに耐震基準適合証明書の仮申請を行うことです。仮申請は最終的に耐震基準適合証明書を発行してもらう建築士事務所に所属する建築士に対して行います。仮申請と耐震基準適合証明書の建築士が異なる場合、無効となる恐れがあるので、言い換えると、所有権移転までに耐震改修工事を含むすべての工程を決めておかなければならないということになります。
二つ目は耐震改修工事を行うことです。耐震改修工事の請負契約書を手続きの際に提出しなければなりません。
ここで注意なのが、耐震改修工事のみを分離して発注することは、施工責任が曖昧になるためあまり現実的でないということです。つまり、中古住宅取得に当たって依頼するリフォーム会社は、耐震基準適合証明書が発行できる事業者でなければならない、ということになります。
三つ目は「新住所登記」を行ってはいけないということです。居住開始は住民票の移転日で判断されます。(手続き時に住民票の提出が求められます)
不動産業界では「新住所登記」といって、所有権移転登記の前に予め新住所へ住民票を移しておく慣習があるのですが、この「新住所登記」を行ってしまうと制度対象外となってしまいます。
このように、所有権移転後の手続きはかなりややこしく、制度に不慣れな仲介会社が担当だと誤った誘導をされることがあるので注意が必要です。